自分のビジネスを始める際、企業ロゴを適当に決めてしまう方もいるかもしれません。しかし、自社を魅力的かつ個性的に見せたいなら、絶対に手を抜くべきではないんですよ!
企業ロゴとは?3つの代表例
企業ロゴとは、企業・サービスをシンプルなデザインで表現したもので、理念や特徴を象徴するデザインを取り入れることが一般的です。
ロゴは企業のブランドイメージを形成し、人々にサービスを印象づけ、記憶に残るようにする役割を持っています。ブランディングにおいて中心的な役割を果たし、社名のみのものやシンボルマークと組み合わせたものなど多岐にわたります。
Canon
参照:canon
キヤノンのロゴは、1935年に「世界で通用する商標」として考案されました。その起源は「聖典」「規範」「標準」を意味する「Canon」にあり、これはキヤノンが目指す先進技術とサービスの世界標準、業界規範を象徴しています。
ロゴは企業成長と共に視覚的に改良されてきましたが、特徴的な「C」の形状は継承されており、キヤノンの独創性と進取の精神を表しています。
ヤマト運輸
参照:yamato
ヤマト運輸の「クロネコマーク」は、親ネコが子ネコを丁寧に運ぶ姿を表しています。このマークは1957年に制定され、2021年に初めてリニューアルされました。
秘話として、このデザインの原案は、当時6歳の少女によるスケッチから生まれました。彼女は広報担当者の娘で、ペットのクロネコを描いたことがデザインの始まりなのです。
Nike(ナイキ)
ナイキの「スウッシュ」マークは、スポーツ界で最も有名なロゴの一つです。ブランドオーナーのフィル・ナイト氏は「躍動感とスピード感のあるシンプルなロゴデザイン」を求め、デザイナーのキャロライン・デビッドソン氏がこれを実現しました。
スウッシュのモチーフは、勝利を象徴するギリシャ神話の女神ニケの翼から着想を得ています。ナイト氏は当初このデザインを好まなかったものの、時間が経つにつれて気に入るようになったと言われています。
企業ロゴがブランディングに重要な理由4つ
次に、企業ロゴがブランディングで重視される理由を4つ解説します。
企業の認知度向上に役立つ
企業ロゴは、ブランドの顔として機能し、一目で企業を識別できる視覚的なシンボルを提供します。ロゴは企業の存在を広く知らしめ、消費者の記憶に残りやすいため、企業の認知度を高めるのに非常に効果的です。
例えば、マクドナルドの「M」やアップルの「リンゴ」のロゴは、それだけで企業を象徴し、広く認識されています。
クライアントの印象に残りやすい
ロゴは企業のプロフェッショナリズムと信頼性を象徴し、クライアントや消費者に強い印象を与えます。魅力的で記憶に残るロゴは、ビジネスの第一印象を強化し、長期的な関係構築にも貢献するでしょう。
ロゴがあることで、企業の名前やサービスがクライアントの記憶に深く刻まれることになります。
企業のイメージ形成に役立つ
ロゴは企業のイメージや理念を視覚的に表現し、ブランドの個性や価値を伝える重要な手段です。効果的なロゴは企業の特徴や強みを象徴し、消費者に対してポジティブなイメージを構築します。
例えば、Nikeの「スウッシュ」は活動的でダイナミックなブランドイメージを伝えています。
社員の帰属意識向上につながる
ロゴは社員にとって共通のアイデンティティを提供し、企業文化や価値観を体現します。これにより、社員の間で一体感や帰属意識が高まり、組織全体のモチベーションと団結力を向上させる効果があります。
共有されたシンボルとしてのロゴは、社員が企業の目標に向かって協力するための重要な要素となります。
企業ロゴを制作する時のポイント6つ
次に、企業ロゴを制作する時のポイントを6つ見ていきたいと思います。
社名の表記方法
ロゴにおける社名の表記は、ブランドアイデンティティを伝える重要な要素です。企業名やブランド名をどのように表記するかは、その後のブランド認知に大きな影響を与えます。
漢字、ローマ字、またはアルファベットの使用、大文字と小文字のバランス、フォントの選択など、細部にわたる検討が必要です。表記方法はブランドの印象を形成し、視認性や記憶に残りやすさに直結するため、ターゲットオーディエンスやブランドの個性を反映した適切な選択が求められます。
企業が成長してもマッチするか
ロゴは企業の成長や拡大に伴っても適切であるべきです。将来的なビジョンや拡張を見据えたデザイン選びが重要で、企業の規模が大きくなってもふさわしいデザインを採用することが求められます。
スタートアップ段階でのロゴデザインは、将来の事業拡大や市場の変化を考慮して、柔軟性と適応性を持たせることが重要です。企業の成長に合わせてロゴが古くなったり、不適切にならないように、長期的な視点でのデザインも必要となります。
社会トレンドに左右されない普遍性があるか
ロゴは時代や文化の変化に左右されない普遍性を持つべきです。長期間にわたって使用できるデザインは、ブランドの持続的な価値を保持し、流行に左右されない安定した印象を与えます。
トレンドに流されることなく、時代を超えても鮮明な印象を保つことができるデザインを選ぶことが重要です。普遍的なデザインは、ブランドの信頼性と尊厳を保ち、長期的なブランドイメージの構築に寄与するでしょう。
どんな広告媒体にも使える汎用性があるか
ロゴは名刺、ウェブサイト、広告など様々な媒体で使用されるため、汎用性が求められます。どのような場所や大きさにも適応できるデザインは、ブランドの一貫性を保ちながら多様な用途に対応できるはずです。
ロゴのデザインは、異なるサイズや形式での使用を考慮して、柔軟性と適応性を持たせる必要があります。デジタルメディア、印刷物、看板など、さまざまな媒体で効果的に機能するデザインを選ぶことが重要です。
一目で覚えてもらえるか
ロゴは視認性が高く、一目で伝えたいことを表現できるものであるべきです。記憶に残りやすいデザインは、ブランドの認知度向上に寄与し、消費者の心に残る印象を与えるでしょう。
シンプルでありながら独特な特徴を持つデザインは、視覚的なインパクトを与え、簡単に認識できるようにすることが重要です。ロゴはブランドのメッセージや価値を簡潔に伝えることができるように設計されるべきです。
オリジナリティがあるか
ロゴは他社との差別化を図るためにオリジナリティが必要です。独創的で印象的なデザインは、ブランドの独自性や優位性を表現し、消費者に強い印象を残します。
オリジナリティのあるロゴは、ブランドの個性を際立たせ、競合他社との差別化を図ることができます。独自のデザイン要素を取り入れることで、ブランドの特徴やストーリーを効果的に伝えられるでしょう。
企業ロゴの費用相場や内訳について
次は、デザイン費用の内訳を確認していきましょう。具体的な費用相場についても解説します。
デザイン費用の内訳
デザイン費用の内訳は、以下のように細分化できます。
作業料
デザイン作成の実作業にかかる費用で、デザイナーの労働時間に基づいて計算されます。一般的な労働に対する作業料は時給で換算されることが多いですが、デザイン作業では、デザイナーの年収や標準労働時間を基に算出されることが一般的です。
通常、デザイナーの平均年収を基にして月間標準労働時間で割り、さらに標準人件費率を加味して算出されます。例えば、平均年収を12ヶ月で割り、さらに1ヶ月あたりの標準労働時間(例: 165時間)で割り、標準人件費率(例: 50%)を乗じることで、作業料が算出されます。
提案数
提案されるロゴの数によっても費用は変動します。提案数が多いほど、選択肢が増えるため費用が高くなりますが、最終的には1つに絞られるため、提案数と費用のバランスを考慮する必要があります。
付加価値
作成されたロゴの「付加価値」に対してかかる費用です。デザイナーの能力や知名度、ロゴを使用する規模を数値化したものが考慮されます。有名デザイナーや大規模キャンペーンでの使用などは、費用を高める要因となります。
デザイナーの能力や知名度(質的指数)と、ロゴを使用する規模(量的指数)を考慮して算出されます。
修正数
ロゴに対する修正指示が出せる回数です。修正指示が多いほど、費用は高くなりますが、修正指示が多すぎると迷宮入りするリスクもあります。
経費
ロゴデザインにかかる経費で、打ち合わせの交通費や通信費、雑費などが含まれます。
デザイン費
デザインそのものに対して支払う費用で、デザイナーの想像力や経験値など、数値に表せない要素から生み出される創作作業に対する費用です。
CI/VI作成費
企業価値を高めるためのロゴマークの方向性を統一させる指針をまとめたもので、ロゴの色の指定や使用仕様などが策定され、これにも費用がかかります。
企業ロゴの費用相場
企業ロゴ作成の費用相場は、依頼するデザイン会社やデザイナーによって異なりますが、一般的には60,000円から150,000円の範囲で変動します。
この費用には、デザインの作業料、付加価値料、提案数、修正数、支出経費などが含まれます。提案数を1案追加するごとに、10,000円から20,000円が追加されることが一般的です。
また、ロゴ作成会社では、10案や20案を相場よりも安く提案している場合もありますが、これは人件費の安い海外デザイナーを起用していることが理由の一つです。個人デザイナーに依頼する場合、クラウドソーシングを利用すると20,000円から30,000円で依頼できることもありますが、デザイナーによって価格は大きく異なります。
ロゴ作成には、デザインの質とコストのバランスを考慮して適切な依頼先を選ぶことが重要です。
企業ロゴを作り込んでブランディングを有利に進めよう
本記事では、企業ロゴがブランディングに重視される理由や、制作する際のポイントなどを解説してきました。
企業ロゴはつい好みや雰囲気だけで作ってしまいがちですが、ブランディングを左右する大切な要素であることから、しっかり作り込まなければなりません。
本記事で触れてきた費用相場なども参考に、クオリティの高いロゴが作れるよう、準備を整えていきましょう。