不動産投資の副業とは
不動産投資は、資産形成の一環として古くから人気のある手法であり、ある種の副業としても認知されています。
この方法では、投資家が物件を購入し、それを賃貸に出して家賃収入を得るのが一般的で、上手く運用すれば安定した収入が得られるでしょう。
具体的な物件は、アパートや一戸建て、区分マンションなど様々ですが、基本的なキャッシュフローは変わりません。立地や物件の状態、市場動向を考慮して適切な物件を選ぶことが、成功への鍵となるでしょう。
不動産投資が副業にならない理由4つ
不動産投資は以下のような理由から、一般的な副業には該当しないとされています。
- 相続などのやむを得ない事情もある
- 本業への支障が出にくい
- 資産運用の性質が強い
- 大前提として副業は憲法で認められている
それぞれ詳しく見ていきましょう。
相続などのやむを得ない事情もある
不動産投資が一般的な副業とは異なる理由の一つに、相続などのやむを得ないケースが多いことが挙げられます。
ほとんどの副業は個人の意志でスタートし、自由に終了できる一方、不動産投資は本人の予期しないタイミングで相続を受けることも少なくありません。
この場合、法的な責任や義務に基づいて行われる点も相まって、副業よりも資産形成・管理の側面が強くなっています。
本業への支障が出にくい
不動産投資は、他の副業と比較して本業への支障が出にくい特徴もあります。
多くの業種は時間的な拘束が発生し、一定の作業も必要となるでしょう。一方、不動産投資は管理会社に委託するのが一般的で、家賃徴収から物件メンテナンスまでほぼ一任できます。
持ち主は本業に集中しやすく、自分から言い出さなければほぼバレることもないでしょう。
資産運用の性質が強い
不動産投資は他の副業と異なり、資産運用の性質が強い手法となります。不動産投資は資産価値の増加を狙った売却益や家賃収入を通じて、長期的な資産形成を目指します。
この点においては株式投資の配当金や債券投資に近い形となっており、単なる収入源というよりは、資産の成長と保全に重点を置いた活動と言えます。
大前提として副業は憲法で認められている
大前提として、日本の憲法では、職業選択の自由が保障されており、これに基づいて副業が認められています。
ただ、不動産投資は従来の副業の枠組みとも異なる側面があります。多くの副業は収入目的で労働活動を指しますが、不動産投資は資産の運用と管理に重点を置いているためです。
すなわち、不動産投資は憲法における職業選択の自由の範疇に含まれる上に、従来の労働に基づく副業とも異なる性質を持った手法と言えるでしょう。
副業禁止の会社で不動産投資がNGになることも
ここまで解説した通り、不動産投資は副業にあたらないことから、ほとんどの会社では許可が得られるはずです。
しかし、以下のパターンに当てはまると、会社によってはNGを出される可能性があるので、注意しなければなりません。
- 事業として投資を行なっている
- 公務員・銀行員として働いている
いずれも重要なポイントなので、ぜひ参考にしてください。
事業として投資を行なっている
数件なら大きな問題にはなりませんが、あまりに多くの物件を運用していると「事業」とみなされる可能性が高いです。その場合、「副業」の扱いとなってしまい、本業の規約次第では処分対象になるかもしれません。
具体的には「5棟10室」以上を基準にすると良いでしょう。
5棟10室 ・アパート等は、貸付できる独立した室数が、おおむね「10室」以上であること ・家屋の貸付けは、おおむね「5棟以上」であること |
「5棟10室」は不動産投資が副業なのか事業なのかを判断するためのボーダーラインとされており、国税庁が明示しています。ただ、5棟10室をクリアするにはかなり本格的に取り組まなければなりません。
1件お試しで運用する程度なら、そこまで心配しなくて良いでしょう。
公務員・銀行員として働いている
公務員・銀行員(金融関連)は不動産投資に関して異なる規約が定められています。もし当てはまる方は、以下をしっかり確認しておきましょう。
- 公務員:公務員は国家公務員法や地方公務員法で副業が禁止されており、不動産投資も例外ではありません。ただ、人事院規則(国家公務員に関係する法令)で「一定の規模」に達していなければ副業にあたらないとされています。詳しい基準については専門機関の資料をチェックしましょう。
- 銀行員(証券マンなど):相続などを除き、金融機関や証券マンはインサイダー取引防止の観点から、不動産投資を禁止されています。感覚的に公務員よりも厳しいイメージなので、就業規則などを確認し、少しでも抵触しそうであれば避けた方が良いかもしれません。
不動産投資で副業する時の注意点
最後に、不動産投資で副業する時の注意点を3つ確認しておきたいと思います。
- サブリースに注意する
- セカンドオピニオンを立てる
- 確定申告を行う
それぞれ詳しく見ていきましょう。
サブリースに注意する
不動産のサブリース契約には、いくつかのデメリットがあります。
まず、この契約では借地借家法が不動産業者に適用されるため、彼らが家賃に対して一定以上の発言権、決定権利を持つことなります。これにより、物件の収益性が不動産業者の判断に大きく依存するのです。
また、物件の運用方針も不動産業者によって決められるため、物件所有者は物件の使用方法や管理についての意見を反映させにくくなります。これらの理由から、サブリース契約は物件所有者にとってリスクが大きいサービスとなるので、慎重に検討しなければなりません。
セカンドオピニオンを立てる
不動産投資を行う際は、セカンドオピニオンを立てた方が良いでしょう。不動産の営業担当はあくまでも自社の利益を得ることが目的です。そのため、おすすめ物件が本当に自分に適切かどうかをしっかり見極めなければなりません。
この場合、できる限り「利害関係にない人物」の意見を求めるのが理想であり、不動産知識を持った税理士や弁護士なら、税務観点からも有益な情報が得られるでしょう。
確定申告を行う
副業における年収が20万円以下であれば、確定申告は行わなくても問題ありません。しかし、不動産投資は資産運用の側面も持っているため、後々の税務処理を考えると確定申告はしておいた方が良いでしょう。
投資に関連する経費が正確に判断できるだけでなく、経費を計上することで、将来的に収益が増えた際の税負担を軽減できる可能性があります。また、税務上の記録が残り、将来的に税務調査などが行われた際も適切に対応できるため、不動産投資に関してはどんな場合でも確定申告するのがおすすめです。
不動産投資は副業規定を気にせず取り組める
本記事では、不動産投資が副業にあたらない理由や、実際にチャレンジする時の注意点などを解説してきました。不動産投資は一般的な副業と異なり、資産運用の側面が強くなっています。そのため、副業規定に該当しない可能性が高く、ペナルティなどを気にせずに取り組めるでしょう。
ただし、規則に縛られないからといって、投資リスクが低いわけではありません。今回触れた通り、セカンドオピニオンなどをしっかり利用し、着実に家賃収入が手に入る物件を選定してみてください。