コーチ、コンサル、セラピストのような起業家の多くは、セールスが苦手と言う方が非常に多いです。無論、セールスが上手くいかないと、売上につながらず、ビジネスの継続が難しくなるでしょう…。
そこで今回は、商品やサービスが売れるために必要なポイントと、確率を高くするセールストークの流れ、具体的トークについてお伝えします。以下の仙道塾ではセールスに加えて集客ノウハウもお伝えしているので、ぜひ参考にしてください。
売れるセールストーク全体の流れ
まずは、クライアントへ効果的に訴求できるセールストーク全体の流れを掴んできましょう。具体的な内容は以下の通りです。
セールス全体のおおまかな流れ
ステップ1|関係構築
ステップ2|情報収集
ステップ3|課題の確認
ステップ4|原因の確認
ステップ5|解決策を示す
ステップ6|解決後の未来を示す+クロージング
ただ、セールスの手法は現場でコロコロと変わるため、慣れないうちはあえて詳細を決めず、多少場当たり的に対応する方が良いかもしれません。
また、強引にあらかじめ決めた流れに戻そうとすると、逆に場の空気を変え、結果的にセールスが失敗に終わる可能性を高めてしまいます。
その点を踏まえ、本記事のステップを「基本形」として活用するようにしましょう。
ステップごとにトークを用意する
おおまかな流れを把握し、各ステップそれぞれトークを用意しておく必要があります。
たとえば、これからお伝えするステップ1~6までを1つの流れとしてトークフローを作ったとします。しかし、現場では1の次に3に飛んだり、4に行ったのに2に戻ったりということが頻繁に起こるのです。
そんな状況の変化に対応するために、各ステップでのトークを用意しておくわけです。ステップごとにトークを用意しておけば、順番が入れ替わったとしても、対応がしやすくなるでしょう。
セールストークステップ1|良好な「関係」を作る
セールスの最初のステップでは、見込み客の情報を引き出しやすくするために、「良好な関係を構築」しましょう。
セールスでもっとも重要なことの1つとして、見込客の「ニーズとウォンツを知る」ということがあります。要するに見込客が何を必要としていて、何を欲しがっているのかを知る必要があるということです。
ニーズとウォンツは、見込客自身に聴かなければ分かりません。外見から悩みを推測することも、欲しいものを知ることもできないのです。そこで、見込客の自身に聴くために、気兼ねなく話せる「良好な関係」が重要となるのです。
《良好な関係を構築するポイント》
- 共通の話題で発言してもらう
- 警戒心を解く
ステップ1では、上記の2つに集中して取り組みます。1つずつ確認していきましょう。
共通の話題で発言してもらう
「見込客に発言してもらう」「声を出してもらう」ということを、最初の目標としましょう。一度発言をしてしまえば、また発言することが容易になるからです。
会社などの会議でも発言する人がだいたい決まってしまうように、人が集まると、発言する人、しない人に分かれてしまいます。発言しない人になられてしまうと、目的であるニーズとウォンツを知ることが出来なくなるので、発言してもらう機会を作るのです。
初めて会う人が話をするには、「共通の話題」が必要です。ここで活躍するのが「アイスブレイク」です。アイスブレイクとは「氷を壊す」という意味で、「緊張した氷のような関係を壊す」ということです。つまり、会った直後の緊張を解き、お互いの距離を近付けるのです。
アイスブレイクに使えるいくつかのトーク例を挙げておきます。
《アイスブレイクトーク例》
「今日はどこから来られましたか?」
「暑くてたまらないですよね。部屋の温度大丈夫ですか?」
「今日はどうやってここまで来られたのですか?」
「おしゃれなネクタイしてますね。どこかブランドものですか?」
「出身地はどこですか?」
「お仕事は何をされているのですか?」
見て頂いても分かるように、話をするきっかけとなるトークばかりです。なにか質問を投げかけることで、相手に発言してもらい、何回かやり取りを交わせると良いでしょう。
警戒心を解く
警戒されたままでは、目的であるニーズとウォンツを引き出すことができません。警戒心を解くことが重要となります。
警戒心を解くために重要なポイントは、大きく分けて2つあります。
1:自己開示をする
2:場の雰囲気
あなたが「自己開示」をしていくことで、見込客に「何も隠していませんよ」ということを示します。「隠し事はない、嘘はついていない、だから信頼してくれていいですよ」ということを「自己開示」をすることで見込客に伝えるのです。
自己開示で警戒心が解け始めても、場の雰囲気が張り詰めているようでは、警戒心は完全には解けません。あなた自身が硬い表情をして、硬い言葉を使っていると警戒心を完全に解くことはできません。
警戒心を解くためには、振る舞いが重要となってきます。
- 少しスピードを落として話す
- 少しくだけた言葉を使う
- 動きをゆるやかにする
様々な振る舞いを通じて、柔らかい印象を与えるよう心がけましょう。
セールストークステップ2|「関係」から「情報」を引き出す
関係性を構築することができたら、次は「情報収集」です。情報収集ができるか、できないかは、そのままセールスの成否にかかわります。
情報収集ができれば、悩み、見込客の問題点、手に入れたい未来など、多くのことが分かります。ここで集めた情報を元に提案をしていくことになるので、情報収集の質はとても重要となるのです。
では、どのようにして情報収集を進めていけば良いでしょうか。
情報収集でポイントとなるのは「質問」です。的確な質問をしていかないと必要な情報を得ることができないからです。
次の流れを確認すると分かるのですが、ステップ3は「課題」を認識してもらう工程になります。つまり、「課題」につながるような質問をしていく必要があるということになります。
以下、ポイントについてまとめます。
《情報収集のポイント》
目的は、最終的に提案につなげるため。質問の質が重要となる。
特に「課題」につながる以下は重要。
- 悩み
- 見込客の問題
- 手に入れたい未来
具体的に質問の仕方についても確認しておきましょう。
《悩みを引き出す質問》
「今、〇〇のどんなことに悩んでいますか?」
「〇〇で上手くいかないなあと思うのは、どんな部分ですか?」
ストレートに悩みを聴いてみてください。悩みを伝えてくれたときには、しっかりと共感することを忘れないでください。相槌、うなずきに合わせて「そうですよね。わかります。」のような言葉で、見込客に共感していることを伝えていきましょう。
《見込客の問題点を引き出す質問》
「今、あなたが自覚している問題には、どんなことがありますか?」
「なぜあなたが望むようになっていないと思いますか?」
「なにが理由で問題がクリアできないと考えていますか?」
見込客が自覚している問題点を、上記の質問を活用して洗い出しましょう。出てきた回答に対して、さらに掘り下げる質問をしていき、問題の核心に迫っていきましょう。
《手に入れたい未来を引き出す質問》
「あなたの理想とする未来は、どんな感じですか?」
「もし問題点が解決するとしたら、どんな風になりたいですか?」
「どうなれたら嬉しいですか?」
悩みや問題点をクリアできた場合の未来を、見込客に想像してもらうための質問です。ここで具体的にイメージできればできるほど、描いた未来を手に入れたくなります。しっかりとイメージしてもらうようにしましょう。
以上で、情報収集のステップに関する解説を終わりにします。しかし、間違ってもらっては困るので、先にお伝えしますが、ここでお伝えした「情報収集」に関しては、ステップ3以降も継続して行っていってください。
見込客と話をしていれば、情報はどんどん追加され、アップデートされます。話をしていく中で、見込客自身で新たに気付くこともあるはずです。それらを踏まえた上で、ステップを進めてください。
セールストークステップ3|「情報」から「課題」を認識する
情報収集ができたら、次は見込客の「課題」を明確にする必要があります。
まず前提として「課題」を確認する作業は、見込客一緒に行ってください。課題に対して見込客が納得できないままにセールストークを進めてしまうと、以降のステップが上手く行かなくなります。あなた自身も見込客も「課題である」と認識することを目指してください。
例えば、起業コンサルとして情報収集をしていたとします。
- 悩み:売上が上がらない、集客が上手く行かない
- 自覚している問題:ブログから集客ができていない
- 手に入れたい未来:安定した売上、集客
このような状況であるときに、課題を探っていくとしましょう。
「ブログからの集客は実際どれくらいできているのですか?」
「ブログはどれくらいの頻度で投稿しているのですか?」
「ブログには見込客となる人がいるのですか」
このように話を進めていくと、課題は「ブログから集客できないこと」ではないことが分かってくるはずです。
- ブログを書く習慣をつけること
- ブログのネタを見つけること
- ブログの書き方を知ること
- ブログのタイトルの付け方を知ること
上記のように、いろいろな可能性があります。
またブログに限らず、以下のような方もいるでしょう。
- 別のメディアの活用の仕方を知ること
- リアルでお客様と接点を持つこと
- マーケティングの知識を持つこと
見込客にとって、本当の課題が何であるかを見つけなければ、セールスは上手く行きません。セールスを成功させるためにも、しっかりと課題を確認しておきましょう。
《課題を確認するときのポイント》
- 一緒に書く確認作業をすること
- あなたも、見込客も、課題であると認識すること
セールストークステップ4|「課題」から「原因」を認識する
課題を確認できたら、その課題の原因を特定する必要があります。原因が分からなければ解決する方法を提示できないからです。
例えば「ブログを書く習慣をつけること」が課題の1つであったとします。その場合には「なぜ習慣化できないのか?」を確認する必要があります。
- 物理的に時間がない
- 1記事を書きあげるのに1時間以上かかってしまう
- ネタを考えるだけで時間も労力も使い嫌になる
- 書きだしが決まらない
見込客ごとに、原因は違うはずです。しかし、この原因を特定することができれば、対策が取れるようになるのです。課題から「原因」の特定をして、次の解決策につなげましょう。
《原因を確認するときのポイント》
「なぜ〇〇が上手くいかないのですか?その原因はなんですか?」
基本的に「なぜ」で掘り下げていくと良いです。参考までに少し掘り下げるパターンの例をお伝えして次に進みます。
《原因特定の例:ブログを書く習慣がつかない》
↓
「時間がないんです」
↓
「主婦業ですもんね。分かります。では、書くときには1記事にどれくらいの時間がかかっていますか?」
↓
「最低1時間はかかります」
↓
「そうなのですね。例えば、主婦業の合間に30分くらいの時間はありますか?」
↓
「30分くらいの時間は一日に何回かあります。でも一気にかかないと忘れちゃうのです。まとまった1時間となるとなかなか取れないんですよ」
↓
「これはどちらかというと、習慣化というよりも、『早く書けないこと』が原因のようにみえるのですが、どう思います?」
↓
「私、そんなに早く書けないです。」
上記のように課題が見えてきましたね。ここまで引き出せれば次に進んで良いでしょう。
セールストークステップ5|「原因」から「解決策」を知る
原因を特定出来たら、解決策を提示します。このあたりからは提案要素も入ってきます。セールスクロージングという契約の準備段階に差し掛かることになります。
先にどのような仕組みかについて、混乱しないようにまとめておきます。
《ここまでのセールスの流れ》
現状の問題点、課題の確認⇒その原因を特定⇒原因を解決する方法を提示
ここで言う「解決策」があなたの商品、サービスとなります。
つまり「あなたの抱えている問題、課題は、原因がこれだから、私のサービスで解決するよ」という流れを、ここまで作ってきたに過ぎません。
上記のような流れに落とし込むためには、原因1つ1つに対して、解決策を提示してあげる必要があります。
見込客としては全て解決したいはずですから、しっかりと根拠のある解決策を提示してあげてください。
先程のブログの例を使ってみましょう。
《各原因に対する解決策の提示例》
- 物理的に時間がない
⇒短時間で記事を書く方法を身につけることで解決 - 1記事を書きあげるのに1時間かかってしまう
⇒短時間で記事を書く方法を身につけることで解決 - ネタを考えるだけで時間も労力も使い嫌になる
⇒ネタの収集方法や、ネタリスト、記事を増やす方法を知ることで解決 - 書きだしが決まらない
⇒毎回特定の書き出しにすることで解決。または書き出しパターンを知ることで解決
このようにして解決の方法をそれぞれ示します。見込客が納得するように伝えてあげてください。
また、このステップからはクロージングに差し掛かっているため、あまり砕けた雰囲気は多用せず、「信用してもらえる話し方」を意識しましょう。
《信用される話し方のポイント》
- 目を見て話す
- 落ち着いて話す
- トークスピードも少し遅くする
《解決策を提示するときのポイント》
- 課題1つ1つに対して、それぞれ解決策を示す
- 納得していない場合には、納得する解説をする
- 信用してもらえる話し方をする
セールストークステップ6|「解決策」から商品で「未来」が見える
各課題、問題点に対して、それぞれの解決策を提示しました。見込客が納得していれば、最後にこの言葉を伝えてあげましょう。
「これらは全て私の講座で身につけることが可能ですよ」
この言葉でクロージングとなります。
しかし、これはクロージングの第一段階です。そのため、「これらは全て私の講座で身につけることが可能ですよ」は、フランクな雰囲気で言ってあげてください。最終クロージングの前に、見込客に「明るい未来」をイメージさせるためです。
その他に、以下のトークも有効となります。
《明るい未来をイメージさせるトーク》
「もし、あなたの問題すべてが解決したとしたら、何をしたいですか?」
このときに共感することも忘れないでください。「いいですね」「そういう未来憧れますね」と共感を示すことで、イメージはより増幅されます。
そして、イメージが膨らみきったところで、「その未来、一緒に手に入れませんか?」と最後のプッシュです。
これで最終クロージングが完了します。ここまでのステップが上手く行っていれば、契約してもらえる可能性は、かなり高くなっているはずです。
ステップを覚えればセールストークで売れるようになる
本記事では、売れるセールストークのステップを6つに分けて解説してきました。最後に、初心者起業家が見返せるよう、ステップをまとめて記載しておきます。
《売れるセールストーク6ステップまとめ》
ステップ2|「関係」から「情報」を引き出す
ステップ3|「情報」から「課題」を認識する
ステップ4|「課題」から「原因」を認識する
ステップ5|「原因」から「解決策」を知る
ステップ6|「解決策」から商品で「未来」を見せてクロージング
各ステップが上手く行っていれば、最終的には「お金」だけの問題となるはずです。上手く行かない場合は、どこかのステップが機能していないかもしれません。
一つ一つをしっかり押さえて、成約率を高めてみてください。